もう一人の女性は通算三張り目になります。いいですね、どんどん深みに嵌っていただいて。
次はニベかな。今回はなんと、播磨竹禅史上初?の内竹が煤竹バージョンです。どこかから調達した材料にあったようです。これまで煤竹を使ってこなかったハザマ師匠のプロトタイプの弓になります。そのため、外竹と内竹のマッチングなどはまだ取れていない、というか不明なところがあるそうです。
 見た目に中々無いため珍しい感満載です。播磨竹禅の銘が見えるのか、心配になります。見たことがないものを見るとつい「俺も欲しい」と思ってしまいますね。
 この弓はまだ藤放し状態ですので、これから弭も関板も削っていかねばなりません。取りあえず、弓の形らしきものをした状態で一刻も早く、荒弓にしてください。」という所ですが、そこは「今日煤竹で、弓があることが確認できたので、それで良いです」などと殊勝なことをいうものですから、隣から「早々に形にして送ってください」とお願いしました。これは楽しみですね、どんな弓が出来上がるか・・・。内竹が柔らかいと、引き心地が優しいのかな?などと妄想が膨らんでしまいます。
秋も深まり、落ちついてきましたので、ハザマ師匠を訪問することにしました。
今回の目的は、一緒に稽古している人の新弓受け取りと流派東方不敗のニベ弓新弓の受け取りです。
 ハザマ師匠のお話では、今年は気温が下がらず、ニベうちが出来ないとのことです。最高気温が18度以下に下がらないと、ニベ圧着がうまく行かず、はがれてしまうそうです。もう少し時間を待たないといけない。また、気温が下がらないため、竹を切りに行けないといわれていました。例年と比べ、新弓の作成と素材集めの着手スケジュールに違いがあるようです。
 さて、女性陣2人が今回の依頼主です。廉価であり、オーダーメイドで弓が作れるのはユーザーにとっては喜ばしいことですね。女性の場合、特に手の大きさに難がある場合があるので、手幅の調整が出来るのがありがたいですね。
 今回は側木黄櫨、並寸で14キロくらいの収まりを希望していました。この納品については、「流派東方不敗がいるから荒弓でいいやろ、わかるやろ」ということで、弓が一回り大きい状態で戴きました。これを巻き藁で300射ほど射込んで行き、その後射込んで行って、実際の弓の大きさに村を取って仕上げていくことになります。
 初めての新弓で試練ですね。彼女に渡された弓は太く、強さもずいぶんなものみたいですので、仕上げが大変そうです。「寒くなるのに、引けるかしら?」不安がよぎります
 弓自体はハザマさんらしい、優しい成りになっています。基本江戸成りになっていますが、少し胴が入っています。慣らす際には胴抜けが怖いので、ちょうどいいかもです。
 寒い時期に弓力の強い弓を慣らしていくことは大変です。しかし、弓を慣らしながら、打起しや大三など基本的なことを見直すチャンスでもあります。動きの少ない冬季なので出来ることもあるかな。そして暖かくなって、体が動く頃に弓を引きこなす事が出来ればいいですね
弓の末弭、本弭を見てみましょう。
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もちろん上作と並作相当の弓ですから、変わりはありません。
これは肥後三郎弓や松永重宣弓との違いがあるようです。
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とはいえ、やはり松永重宣弓系ですね。角をあまり切り落とさずに立てています。
肥後三郎弓毛糸の違いはどういう理由なのか?そこは謎です。
ただ、鼻の長さは昔の弓に比べて長くなっています。これは何か秘密があるのでしょうか?
 
本弭です。
ピンボケ気味ですが、丁寧な作業は刃の後でわかりますね。
松永系の末弭本弭は形が穏やかで、どの弦もかけやすい形状です。
こなれてきたら、日の輪も月の輪もできる限り締めるように、弦をかけたいですね。
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早く育て行きたいですが、まだまだ時間が取れません・・・
佳也弓の成りを見てみましょう。
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これは重宣一門の成りと言って良いでしょう。
重宣一門の成りといえば、カモメ型ですね。
肥後三郎弓は下成りが立っている弓が多めですが、そこが異なりますね。
 ただ、同じ時期に製作されたであろう佳也弓ですが、気持ち成りが異なります。
左の佳也は上成が立って強くなっています。右の佳也は本当にカモメ型で上下の
成りが均等に広がっています。
重宣一門の典型的な弓の成りになります。やさしい感じですね。
だからといって、上成りが強い佳也弓が無いのか?といえば結構よく見かけます。
ちなみに上成りが強い佳也弓で上成りが弱くなったものを周りで見たことはありません。
 どちらが本命の成りなのでしょうか?私は上下とも均等なカーブを描いている成りが好きですが。
 そして、やはり持つと軽い弓です。ハゼの脂分の少なさからくる軽さと重心の良さからくる
感覚的な軽さを両立しているのでしょうか?
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偶然手に入った松永佳也弓。
先にお話していましたとおり、入手困難品なので、見つけたら悩まず購入しないと
悩んでいるうちに売れてしまいます。特に男性の強い弓は本当に出会わないですね。
さて、櫨仕様の佳也弓の比較です。
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末弭の関板ですが、特にお互い変わりありません。重宣弓、健太弓とも違いが感じ取れません。
当たり前か・・・。同じグループの弓ですからね。
 関板は高め、分厚めで、内竹が関板の中まで伸びています。これは首折れ防止と聞いています。
本来特許(実用新案とか)が取れる代物ですが、技術をオープンにしているようですね。
そして、関板の角は斜めに段ができるように切っています。この高めの関板と段のおかげで弦音が出る
という話です。ちなみに肥後三郎は関板低いですよね。
弦が先に関板にあたり、反動で姫反り付近を強く打つ仕掛けですね。
この関板、結構な重さになります。ちなみに流派東方不敗の重宣弓の関板はハザマチューンによって低く削られています。
が、削った後の方が、格段に弦音は良くなりました
一概に関板を削って軽くなったからよくなるのではなく、チューンのトータルバランスであろうかとは思いますが・・・
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最近思うのですが、関板って、軽いほうが弓の納まり=冴えがよいのでは?と思います。
重たい物が弓の端に来るのは、効率が悪いような・・・。
ただ、弓師によって関板は大きく異なります。最近の弓道は弦音をかなり要求されますので、
腕の見せ所、苦労のしどころなのだと思います。ある弓師さんは関板の中に空洞を作り、
音を反響させるようにしていますし。一翠や吟翠のように関板を大きく、重くして形状もかなり
変わったものにしている場合もありますし。
 本弭ですが、こちらは特に目だったところはなく、オーソドックスです。櫨はきれいですね。
魚マーク付が上作ですが、素材が違うのかは見た目では良くわかりません。
籤数は違うと聞いていますが、竹や櫨の吟味から違うのかしら・・・・。
重宣師もそうですが、佳也師も煤竹の弓は作られないのですね。