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2007.08.25 「矢」その2

 矢は重さ、長さ、重心はすぐ決まりますが、羽根や“の”で悩みます。“の”は八角形のものやこげ茶色などいろいろありますね。“の”になる竹は弓になる竹と同様、産地で異なります。基本的に九州産は同じ重さでも矢が太い傾向があり、東北の矢は細く目が細かい傾向があります。私は“の”替えが非常に廉価である九州の某矢師にお願いしています。


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 上から、礼射用の白鳥ナタ羽根。礼射用ですので白竹です。白鳥はグース(ガチョウ)と羽根の形状が似ていますが、グースのほうが小さく、薄い感じがします。そのため、巻き藁矢だったり、遠的矢に使われます。近的にも使えますが・・・。この白鳥矢、私の弓力には羽根が弱いのか?ミスがシビアに出ます。その代わりはまったときはす・ご・い・・・。まさに糸を引くように飛んで行きます。


 真ん中の矢は初めて作った竹矢で、熊鷲尾羽開きです。熊鷲の尾羽の模様は大変気に入っています。周りに犬鷲の尾羽が多かったため、天邪鬼で作ったのですが、白と黒の部分がはっきり出ていて、出来上がりに非常に満足しています。貝羽では模様がいまいちはっきりり出ませんから開きで正解かな。でも世間での人気は犬鷲より低く、犬鷲尾羽より安いですね。皆見る目がないなぁ~(笑)


 一番下は犬鷲尾羽貝羽です。熊鷲の幼鳥が犬鷲です。その家庭で白と黒の部分が変わっていくわけですが、その模様に美しさが現れ、白黒の配分や斑の混ざり具合など利用者の好みが大きく出ます。流派東方不敗は斑が結構入っているのが好きです。四ツ矢で模様の揃ったものをというのが難しく、より高価になります。ちなみにこの羽根はジュラ矢に付けていたものを周囲の「勿体無い」のお言葉を受けて竹矢にスイッチしました。この矢はあまり模様は揃っていません。


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 開きと貝羽では羽根の厚さ、模様が違いますが、羽根の巻きが違います。貝羽のほうが羽根がねじれています。そのため、ライフル効果があると思われます。矢も凝りだしたらきりがありませんね。


 「ほしいな・・・いろんな羽根の矢」ですが、天然の羽根はいつまで使うことが出来るでしょうか。何と言ってもワシントン条約で保護され、国の天然記念物でもある鳥の羽根です。われわれはそのことをしっかりと心に命じて使わなくてはなりません。将来「昔は鷲の羽根使ってたなぁ~」といいながら七面鳥の羽を珍重する時代が来るかもしれません。

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