続いて、肥後三郎の並作四寸伸と比較してみます。
                                               
今流派東方不敗の弓艦隊の中では、並作とはいえ、出色の出来といえる弓で使用の中核にいる弓です。
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というのも、弦音は抜群に良いです。                                                流派東方不敗の腕をもってして
「富士」でコンスタントに弦音が出るのはこの弓だけです。
成りを比較すると、並作のほうは都城成に近く、かなり胴が入っています。
萬義はそこまで入っていません。

側木は並作が大健闘で良い素材を使っているように見えます。萬義は当然高い水準だと思いますが、普通に良く見えます。よく見ると「ニベ口」といってニベの溜りを見ることが出来ますね。

上下の関板の処理は、同じようで、肩が上がり気味の処理です。見た目のクオリティは変わらないのですが、材料の吟味に違いがあるのでしょう。きっと。                                              IMG_4599.jpg
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赤とんぼが飛ぶ頃、慣らしの場に復帰ですね。
これだけ素晴らしい弓ですから、大切に育てていかないとバチがあたります。
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四寸と二寸の萬義の比較をして見ます。
二寸は重昌師、四寸は三代目の製作と推定されます。
弓の大きさは異なりますが、それぞれ仕上げは丁寧です。
そのあたりのクオリティは他の肥後三郎シリーズより確実にランクが上です。
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成りは以前にもお伝えしましたとおり、四寸の方が胴が入っています。
しかし、ある程度矢数を掛けて成りが整ってきたら落ち着いてくるはずで、その時の差異を見たいと思います。

末弭の形ですが、若干変わっています。肩が上がっているような感じですね。
九字の切り方は変わっていないように見えますが。鼻の長さも短くなっています。
 本弭の形ですが、こちらも肩が上がっているようで、鼻の長さも短くなっています。
末弭、本弭とも個体差なのか、製作時期の違いから来るものなのか、検証が必要です。

                           IMG_4593.jpgIMG_4594.jpg
 
側木なのですが、それぞれ素朴でありながら美しく、杢目が綺麗です。
外竹も内竹も少し焦がされた竹です。存在感は薄めに見えます。
ただ、よく見ると三代目萬義の側木からはニベ口があちらこちらで見られます。
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二寸萬義は殆ど見られないので、大きな違いといえます。
二寸萬義のほうが茶色いのは、日焼けや経年劣化ではなく、
前回のハザマチューン後に流派東方不敗が塗ったカシュー透き漆の
溶き方が濃くて色が濃いだけのことです。
 
そして二寸と四寸の最大の違いは銘にあります。
焼印の花押も気持ち違う気がするのですが、緑字の「重昌」の字体が全く異なります。
奥が四寸萬義なのですが、二寸伸の力感がなく、なんだかテキトー感が感じられます。エライ違います。
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それでは細部を確認していきましょう。
                                   IMG_4584.jpgIMG_4586.jpg

上下の関板です。
上下の関板とも、黄櫨が使われており、素材は素直です。この四寸では上関板のほうが黄櫨の模様は好きですが
萬義というか、肥後三郎もですが、関板の高さは低いですよね。
これは通常弦音が出にくいのですが、ご心配なく、流派東方不敗の腕でも、桂・谷口は弦音が出ます。
富士・雲仙は調子がよければ弦音は出ます
今は慣らし中のため、合成弦を掛けていますが、弓具店からも「弓がかわいそうだから一刻も早く麻弦を掛けてね」
といわれました。
特段ボリュームもなく、軽い素材のため、上下の質量の軽さにも貢献し、弓返りの速さに貢献していると思います。

 横から近接して、見てみます。相変わらず黄櫨の素材は良く、素直な杢に見えます。
複雑な杢ではなく、そこで存在感を出す杢ではありません。控えめです。

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内竹は焦がし竹ですが、白っぽく焼きは薄目です。これにも存在感はありません。
存在感はないのですが、美しい竹で上品に感じます。
また、柴田勘十郎や播磨竹禅のような節の高い竹ではありませんが、
都城弓に比べると節は高めです。
黄櫨といい、外竹・内竹といい、厳選された素材が使われているはずです。
この所有している優越感はたまりませんね。ただし、人に見せて自慢する類の
ものではありません。