先にお亡くなりになった先生をお見舞いに行った時、その先生と、A範士が一緒にいらっしゃいました。その時はお二人から、いろいろと薫陶を戴きました。技術的な事もそうですが、弓引きとしてのあり方や、「早く上に上がれ!」、「全国に通用する弓引きになれ」、「お前たち若い世代ががんばらないと、この地連はダメだ」などなどいつになく激励を受けたものです。
 A範士が流派東方不敗の道場に来て、指導を頂く事になり、お迎えするために準備を進めていました。ところが少々体調を悪くされたとの事で、延期させて欲しい。ということでした。少し時期を置いてから・・・と思っていましたが、最悪の知らせでした。「A範士がお亡くなりになった・・・」大きなショックを受けまました。
 お通夜に参列しましたが、いつの間にか先生は小さくなられていました。「なんてことだ・・・まだまだ教わっていない事ばかりなんです・・・」「今、これから自分でやって行けといわれましても・・・」自分のことしか考えていませんが、目の前が真っ暗になりました。
 お葬式に参列しました。A範士の亡骸にお別れをする場面が回って来ましたが、その時は「先生、僕はこれからがんばります」何をがんばるのか目標がはっきりしていないですが、今の流派東方不敗にはそれしか誓えませんでした。でも、「やるしかない」先生に向かって誓いました。
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 「これから、しっかり精進して更なる上を目指して欲しい」「もっともっと、努力して射技を高め、後進にを育成して欲しい」とお言葉を頂き、そのとおりとはいえませんが、稽古を続けていました。
 A範士は体調を崩し、しばらく表舞台に出てこられませんでした。少し、お元気になられ、地連の行事に出てこられだしました。射技を久し振りに見ていただきましたが、「流派東方不敗よ、次は教士だったよな!!」せ、先生、ご冗談を、まだそんな所まで行きません、六段を受けています」「そうか、そんな所でぐずぐずしていてはいかん、早く上がってくれ!」はぁ、そりゃあ私も出来ればそうしたいですが・・・。
 「錬士を取って、安心して努力を怠るものや、天狗になってしまう者が多くいる。そうではない、単なる到達点に過ぎない!ぬるま湯に浸らず、厳しい試練に挑戦し続けて欲しい、休むな!」「若いうちに、どんどん上がって行くようにならないといかん」
 「そうはおっしゃっても、なかなか簡単にはいきませんよ・・・先生」「時間を作って努力をしなさい、仕事も忙しく、なかなか時間は取れないだろうが、取り組み続けて欲しい」
 その時はクラブの研修会をすでに始めており、「こういったメニューで年間の研修会をしています」とお見せすると、「時間が合えば一緒にやろう」とご提案を頂きました。残念ながら、実現には至りませんでしたが、その他にもいろいろ後援を頂いた事が多くありました。
 通算10回ほど受けた錬士審査、今回こそはなんとかなるかもしれない。そうは思ったものの、これまで失敗の連続でしたから、プレッシャーはかかります。この審査、何故だか師匠とA範士に見守られながら引く羽目になってしまい、「もぅ、やるっきゃない」状況に陥りました。
 一次は何とか束中で、A範士からは「普段とは雲泥の差がある、格段の出来射であった。やはり師匠に見られたら気合が入るのか?」「二次は一発で決めて来いよ!!」プレッシャーとも励ましとも取れるお言葉でした。
 二次は片矢でしたが、何とかお二人の前で合格することが出来、その報告では感極まって泣けてしまいました。これまで頂いた指導の数々、師匠とA先生の連携指導作戦。「流派東方不敗は、なんて恵まれた環境で弓を引けていたのだろう・・・」
 両先生の技術的な指導内容が非常に近く、というかブレがなかった事も本当にありがたかったです。いくら高名な先生でも、これまで受けていた指導内容とかけ離れた、違和感のある指導は身体に染み込みません。そして先生方の指導を信頼し切って何とか理解しようとしたことでしょうか、えらそうですが・・・。
 「指導は教えるほうと教わるほうの我慢比べ」といわれました。「この先生の指導のとおりにして(出来てないですが)ダメなら仕方がない」そこまで、弓をゆだねることが出来るか、なんでしょうか。。。幸いなことに、そういった環境を作ってくださった先生方に感謝のしようがありませんでした。
 
 いよいよ、A範士の指導を受ける練習会に参加するようになりました。平日開催でしたが、何とかやりくりして参加です。今思えばホントに何もできていなかったのだなぁ~。と思います。射技、体配とも細かくまさに執弓の"1"から教えていただきました。
 練習会はいつもこういった形態で行われていると思っていましたが、練習会に参加している方から「流派東方不敗が来ない時はA範士はお昼で帰るのだけど、流派東方不敗が来る時は夕方まで残っている」と教えていただきました。それから「いつも私たちは指導を受けるのも順番待ちで、なかなか見てもらえないけど、流派東方不敗はずっと見て貰えるから、うらやましい」と言われました。
 口喧しく厳しい指導をくださるA範士は、決してそういうことは態度に出さないけれど、そういうことでした。その時にいただいた射技・体配指導は完全に理解・習得できた訳ではないですが、後輩の指導に活かせていただいています。
 何度か、練習会にも参加させていただき、支部内の活動や今後のあり方なども相談させていただくようになりました。相談するたびに、「こうすればよい」とか「この人に相談すればよい、伝えとくから」とアドバイスをいただきました。支部内で研修会を始める事になり、メニューを作成したときもご意見を頂き、「時間が合えば行っても良い」とお言葉を頂きました。(結局適いませんでしたが)
 錬士審査を何度か経験し、その都度練習会に参加していましたが、徐々に体配の指導が減り、射技指導が増えてきました。実感はわかないままでしたが、ある日の練習会が終わったときに、A範士が「もぅ、いいだろうもらって来い」初めてGOサインを頂きました。
 「練習に来い」とお声がけをいただいたものの、会えば叱られてばかりの流派東方不敗としては、なかなか門を叩くことは出来ませんでした。
 そんな時、地連でブロック単位の講習会があり、師匠が講師で来られることになりました。当時、流派東方不敗は参加資格がなかったものですから、見学に行きました。
 観覧席から見ていましたら、指導中の師匠が流派東方不敗に気がつき、手を振ってくれました。休憩時間に「師匠!お久しゅうございます~」と挨拶をしたり、現状報告をしていました。今回は、A範士は地元講師として参加していましたが、師匠と流派東方不敗が話している様子や、内容を聞いて心底びっくりされたようした。
 講習会終了後、宿舎への移動を「流派東方不敗に乗せて行ってもらうから・・・」ということで、お連れしました。当然、「何でこやつがそんなことをするのか?」訝しがる雰囲気でした。流派東方不敗としては師匠がいらっしゃるから当然・・・という感じでしたが。
 師匠からA範士に相当プッシュしていただいたようです。その後何かとA範士からお声を掛けて頂けるようになりました。ところが、ある試合の時、流派東方不敗が自堕落な態度をとっていましたら、A範士に雷を落とされました。「どうい心積もりでで試合に参加しているのか!!」
 「お前が師匠の弟子であると名乗るのならば、その態度は許さん」「なぜなら、私にとってお前の師匠は神様のような存在だ」「その神様のような先生の弟子であるというならば、しっかりしろ!!」
 詳しく説明してくれました。「七段受審当時、とても悩んでいたことがあった。どうしたらいいか判りかねていた時、師匠が『A先生、ここがこうなっているからこうして、後は思い切り行きなさい』その言葉が神様から後光が差すように思えた。その言葉を信じ七段を合格できた。あれ以来お会いする旅にアドバイスもいただき、私は師匠を神様だと思っているんだよ」
 「だから、師匠からの預かりもののようなものだ。そのつもりでいる。だからええ加減な態度は許さんからそのつもりで今後出てくるように」
 キツーいような、優しく示唆に富むようなお言葉でした。「心に留めよう、しっかり真摯に弓をひこう。趣味の弓道とはいえ、これだけの先生方に見守られているのだから、真剣に取り組もう」弓道の取り組む姿勢に大きな変換点が来た、事件でした。
 A範士に叱られたことや、ご挨拶をしたことを師匠にお伝えしました。「今度会うときに、流派東方不敗をよろしくって言っとくよ」とのことで、次に有った流派東方不敗の地元の試合のときです。A範士が「ここの道場で流派東方不敗って言うのがいるのか?」「先生、僕です僕。」「ああ、あんただったか・・・。あんたの師匠によろしくって言われたので、誰かと思った。まぁ、頑張れ。うちの道場にも練習に来い」「ありがとうございます!!」う~ん、師匠のつぶやき効果は絶大だ・・・。
 地連内の講習会や試合の時も少しずつアドバイスをいただけるようなりました。そして中央審査受審のときのことです。一次審査があまりの体たらくで、ふてくされて早々に昼食に行っていました。帰って来ると、「昼休みにA半範士が流派東方不敗を探してたぞ!!」なんだろう・・・。審査終了後恐る恐る面会(笑)に行きました。。。「体配が全くなっていない!!」「何だあれは!!今日受審したうちの地連の連中も全員そうだ。皆にそう伝えとけ!!」・・・それは私が皆さんに伝えるのでしょうか???「わ・た・しが?」
 とにかくご立腹なのは判りました・・・。「うわぁ~、また叱られたよ・・・。」皆にも「なんやったん?」「体配が悪いってみんなにいっとけって」「何で流派東方不敗に言うんだろうね?」
 でも、あとでA範士から「体配を教えてやるから、出て来い」とお誘いというか、命令(笑)をいただきました。